ミネラルの欠乏症と過剰症
ミネラルという栄養素は、私たちの健康維持や成長に欠かせないものです。
それでは沢山摂ればよいのかというと、そうではなく、どのようなミネラルにも必ず適量というものがあります。
これはカロリーを有するタンパク質や脂質、炭水化物の三大栄養素にもいえることです。
つまり食べすぎは肥満や、あらゆる成人病の引き金となります。
これと同じようにミネラルの過剰摂取は健康を触み、場合によっては死ぬことすらあります。
ところでからだの生理作用と、ミネラルの濃度関係を正確につかむのは大変むずかしいことですが、その量を臨床的に求めたものが最適濃度と呼ばれるものです。
なお、この数値は性別、人種の違い、年齢などによっていく分異なってきます。
ところで以前スモン病,(亜急性脊髄視神経症)と呼ばれる薬害事件がありましたが、これは腹痛や下痢その他感覚障害、運動障害、視神経障害を引き起こします。
この原因は当時使われていたキノホルム(整腸剤)によるものでした。
つまりキノホルムという医薬品が体内に摂取されている銅の錯体をつくり、緑便として排出され、著しい銅の欠乏症を起こしたのです。
なお、ここでいう錯体とは金属または金属類似元素の原子、またはイオンを中心として、これに原子や分子、イオンが結合した状態のことです。
このように、何事もそうであるように、多すぎても少なすぎても、からだにはよくないのです。
要するに過ぎたるは及ばざるがごとし"ということです。
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ミネラルの
種類 必要量
りん[P] 0.6~1.0g
マグネシウム[Mg] 0.3~0.7g
亜鉛[Zn] 12 - 18mg
鉄[Fe] 8.0 ~12mg
マンガン[Mn] 3.0 - 5.0mg
銅[Cu] 2.2~2.8mg
代表的な欠乏症と過剰症は、
ミネラルの種類 欠乏症
カルシウム [Ca] 骨格変形、 虫歯、 骨粗疑症、 破傷風
過剰症
胆石、アジソン病、白内障
鉄[Fe] 欠乏症
貧血、脱毛症、成長障害
過剰症
出血、嘔吐、循環器障害
亜鉛[Zn] 欠乏症
成長抑制、生殖腺機能障害、精力減退
過剰症
嘔吐、下痢、肝臟機能低下
マンガン [Mn] 欠乏症
骨格変形、発育障害、 糖尿病、 脂肪代謝異常肝硬変、 過剰症 神経障害、パーキンソン病
銅[Cu] 欠乏症
貧血、毛髪色素欠乏症、栄養疾患 過剰症
肝硬変、下痢、嘔吐、知覚神経障害
コバルト[Co] 欠乏症
貧血、食欲減退 過剰症
心筋梗塞、赤血球異常增加